進化の余地あり!我が家のバイリンガルレベル

バイリンガル育児

「パパがアメリカ人なら、お子さんはバイリンガルですよね?」

国際結婚なんです~と言うと、よく聞かれる質問ナンバースリー。

ちなみにナンバーワンは「どこで出会ったんですか?」、ナンバーツーは「家では何語でしゃべってるんですか?」である(私調べ)

このナンバースリーに対して、私はいつも「え? あ…うーん…そうかもしれないですね(苦笑)」と、何とも歯切れの悪い返事をしてきた。

というのも我が家の4歳の息子、夫にどれだけ英語で話しかけられようとも、ほぼ日本語で答えるから。ただ夫の英語は理解していて、見当違いな返事はしない。夫もシンプルな日本語なら聞き取れるので、ちゃんと会話は成り立つというミラクル。

でも、それを「バイリンガル」と言っていいものか…

夫に対しても同じ疑問を持ったことがある。

夫は中国系アメリカ人。アメリカで生まれ育ったので、英語が第一言語(一番得意な言語)である。両親は中国からの移民で、夫は両親と話すときだけ中国語を使うただし中国語の読み書きはできない。漢字は日本語から学んだという。

それって「バイリンガル」と呼べる…?

調べてみると、一口に「バイリンガル」と言っても習得レベルなどによって分類されるらしい。

たとえば「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能で分類すると、

  1. 【聴解型バイリンガル】
    もう一つの言語で、「聞く」だけができる
  2. 【会話型バイリンガル】
    もう一つの言語で、「聞く」「話す」ができる
  3. 【読み書き型バイリンガル】
    もう一つの言語で、「聞く」「話す」「読む」「書く」が全てできる

これだーーー!!!

つまり我が家のボーイズを分類すると、

  • 息子 ⇒【聴解型バイリンガル】(英語は聞き取れるが、話せない)
  • 夫 ⇒【会話型バイリンガル】(中国語で会話はできるが、読み書きはできない)

※厳密には、2言語のうち1言語は4技能全て使えるという前提が必要だが、年齢相応の母語話者レベルのケースとする。

発達過程としては、【聴解型】⇒【会話型】⇒【読み書き型】の順でレベルアップしていく。ポケモンに例えるなら、【ピチュー】⇒【ピカチュウ】⇒【ライチュウ】と進化するのと一緒だ。ポケモン世代なのにポケモンをやったことのないレアポケモン級の私だけど、きっとこの例えは的を射ている。

ここで衝撃だったのが、「読む」「書く」ができるだけではバイリンガルと呼べない、ということ。

中学・高校と、英語のテストだけは常に高得点をとっていた私。大学生になって人生初めての海外旅行でカナダに行ったとき、本場の英語が聞き取れないし話せないしで滝汗をかいた記憶がよみがえる。

あのときの私はただの滝汗ガール。バイリンガールにはほど遠かった。

さて、これまで【聴解型バイリンガル】人生を謳歌していた息子だったが、4歳を過ぎてから少しずつ夫に英語で話しかけるようになってきた。夫のたゆまぬ努力がついに実を結んだか。

“Look at this!(見て見て!)”

“That’s so wierd(変なの~)”

“I want more(もっとちょうだい)”

こんな簡単な文章でも、息子の口から自発的に出てくるから夫は嬉しいようだ。だって今まで聞いてきた息子の英語は、単語単位か、英語で言われないと梃子でも動かないモードになったときの夫に頼みごとをしたくて、私が助け舟で教えた英語をリピートした文章だけだったから。

そんな息子の成長を見て、「私の英語もいつか息子に抜かれそうだな~ははは~」なんて笑いながら夫に話していた。既に日本語では抜かれた疑惑のある夫は、”Yeah I guess(そうかもね)”と遠い目だった。

それが先日、私も遠い目になる出来事が起きた。

音楽が鳴るとダンスせずにはいられない1歳の娘のために、ボタンを押すとしゃべって歌って踊るおもちゃをアメリカから取り寄せた。送料がバカ高かったが、毎日楽しくパーリナイする娘の笑顔はプライスレス。実にいい買い物をした。

その日も母子で楽しく踊っていたのだが、そいつが『ABCの歌』に続けて言う台詞が私にはどうしても聞き取れなかった。

「“You did great, friend!(よくできたね!)”のあとは何て言ってるんだろうね? ダディが帰ってきたら教えてもらおっか」

すると息子は不思議そうな顔をしてこちらを見上げた。

「“Way to sing!”って言ってるよ」

え? YOU聞き取れてんの?

帰宅した夫に手洗いうがいをする暇も与えず聞いてもらうと、やっぱり”way to sing”だと言う。ここで私も”way to go(その調子)”の変形だと気づく。でもそんなの見たことないんですけど。

耳からではなく文法から覚えるタイプだった英語学習歴20年弱の私が、耳で英語を吸収し続けた人間歴4年の息子に屈した瞬間だった。

そういえば夫と付き合っているときは「英語力伸びたな~」という実感があったが、結婚してからは手応えを感じない。普段の会話では同じ言い回しで済んでしまうし、私が言葉に詰まっても夫がうまくフォローを入れてくれるから話が通じてしまい、伸びしろが小さい気がする。

「語学力を磨きたいなら外国人の恋人を作れ」というのはよく聞くが、付け加えるとしたら「結婚するまでに磨けるだけ磨いておけ」だ。

私の理想としては、子どもたちには英語を教科として学び始める小学校5年生までに【会話型バイリンガル】になってくれたらいいなと思う。夫に言うと”That’s way too slow!!!!!(そんな悠長な…!)”と絶句しそうだが。とにかく、幼い頃から慣れ親しんできた英語を「勉強」するようになるとどんな風に感じるのか、今からママは興味津々だ。

これからは「お子さんはバイリンガルですよね?」の質問には、堂々と「はい、息子は(今は【聴解型】を極めて【会話型】に進化中の)バイリンガルです」と答えよう。

私自身もいつか「バイリンガルですか?」と聞かれたときに「はい、【読み書き型バイリンガル】です」と胸を張って言えるように、そして英語で子どもたちに追い抜かれる日を少しでも先延ばしにできるように、英語の勉強を続けよう。

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